ガレス・エヴァンズ『指示の諸相』導入

Evans, Gareth. (1982). The Varieties of Reference. Oxford: Clarendon Press. 重要な著書だけれど,未だに翻訳が出版されないので,さわりだけ. The Varieties of Reference (Clarendon Paperbacks) 作者:Evans, Gareth 発売日: 1989/05/04 メディア: ペ…

ジョン・ミハイル『道徳認知の諸要素:ロールズの言語アナロジーと道徳・法的判断の認知科学』

おひさしぶりです.今年も,いや,この 5 年も,いろいろありましたが,結局のところ,図々しくも,僕は元気です.いや,あまり元気がないかもしれません.君はどうですか? このところ,道徳について考えていました.いや不道徳について考えていたといった…

雑誌 『SYNAPSE -Academic Groove-』 vol. 1 つくりました!

ご無沙汰しています. この度,研究を通じて出会った友人たちと雑誌『SYNAPSE -Academic Groove-』*1を制作しました.ぼくたち編集チーム SYNAPSE project は,学術の魅力をより多くの人へ届ける「サイエンス・コミュニケーション」を目的とし,専門領域の枠…

「信じる運命?」進化心理学・認知科学による宗教への科学的接近

おひさしぶりです.今年もいろいろありましたが,結局のところ,図々しくも,僕は元気です.君はどうですか? さて,年始年末は日本においても宗教に関わるイベントが目白押しですが,それらの忙しさをやりすごしたら,ふと立ち止まって宗教や信仰そのものに…

あすこそは あしたこそはと 夏は暮れ

雨上がりの夜空に

ジンライムのようなお月様!

ご無沙汰しておりました。

冬になると恒例のように更新が鈍るこのブログ。寒いとなかなか心が発火点を超えないのである。今日は初夏のような陽気だから。と言ったら、分かり易すぎて恥ずかしいのだけれど、事実だから、仕方がない。どうやら、この実に恥ずかしい心身を抱えた私を、何…

南へ/エルスール

id:mikk さんのところで、渋谷ビクトル・エリセの旧作が上映されていることを知り、仕事は山積しているのだけれど居ても立ってもいられなくなり、21 時からの『エルスール』上映最終回に出かける。研究棟のエントランスのドアが開くと生暖かく甘い空気が流れ…

ゆるふわモテ形而上学読書会 1回目

Contemporary Debates in Metaphysics (Contemporary Debates in Philosophy)作者: Theodore Sider,John Hawthorne,Dean W. Zimmerman出版社/メーカー: Wiley-Blackwell発売日: 2007/12/03メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブ…

ぼくらの住むこの世界では / The Places We Live

我々の共通場は、たとえそれが今日は何の効力がなくとも、世界を唖然とさせる諸々の抑圧の事実に対してまったく無力だとしても、世界の人々の想像界を変化させることに力があると思われる。我々が我々の身にふりかかった悲惨な状況に根本的に打ち勝つのは想…

サタデーナイトにうってつけの日

さられないっおまえをのーせーてる! The Impressions の "People Get Ready" まんまであろうと John Mayer の "Waiting on the World to Change" は名曲であり、であるならば、と、私も脳髄に刻まれた斯のコードに乗せて湧き出づる言葉を紡ぎ、大学から渋谷…

「シンポジウム『生成文法の可能性』レポ」への言語脳科学からの応答

2008 年 11 月 9 日に専修大学で行なわれたシンポジウム「生成文法の可能性」に参加し、いつもブログ上でお世話になっている id:dlit さんともお会いすることが出来ました。お会いした感想としては同じく、若け〜というのと、やっぱり言語学の方はきれるな〜…

MAKI OGASAWARA PHOTO EXHIBITION 『旅の空』 E&Y HOUSE

毎日のように僕が買い物をするセブンイレブンの前にある、何だかイカした建物。何年も気になったまま立ち入ることはなかったのだけれど、先日、入り口に "DESIGNTIDE TOKYO 2008" の立て札が出ていたので、買ったばかりのカップラーメン片手にふらっと立ち寄…

Sigur Ros 新木場 STUDIO COAST 20081025

秋の大物ライブ三連戦、radiohead につづく二戦目は Sigur Ros。 今回も我がバンドのボーカル kms の誘いで参戦。チケットがライブ当日になっても kms の手元に届かず、問い合わせたところ、住所の宛名に間違いがあって、羽田の荷物集積所に留まっていたこと…

ぼくたちの 感覚は どのようにして うまれてくるか。

Kandel, Schwartz, and Jessell (2000) 『Principles of Neural Science』 p. 22 より。 このように、 ひかりの 情報を はこぶ 信号は、においについての 情報を はこぶ 信号と おなじなのです。ここでぼくたちは 脳の はたらきの もうひとつの だいじな 原…

杉山○丸

今、思いついたのだけれど、元京大霊長類研究所の杉山幸丸先生 (ハヌマン・ラングールの「子殺し」の研究で有名) って、杉山茂丸 (長男は作家の夢野久作。孫はインド緑化の父と言われる杉山龍丸) の家系ではないだろうか。満州生まれっていうのも気になるし…

寄せてはかえす夜の波。

新大久保の韓国料理屋で I 先輩の友人たちと食事。みんな音楽好き、というか職業だったりするひとも。やっぱり radiohead 来日公演の反響は大きく、ここでもその話題でひとしきり盛り上がる。そして Perfume 聴け、と説教される。自意識が邪魔しているんだね…

Perfume * Friendly Fires = Par☆s

音楽ネタに走るのは稼業 (稼いでいないけれど) が充実している証 ということにしておこう。 さて、次はラプチャーが火をつけて爆発した UK のニューレイブ・シーンについてですが、最近の新人はダンス風味にも関わらず「黒さ」がすっかり抜け落ちていて、僕は…

Radiohead 東京国際フォーラム 20081008

僕らの座席は PA 卓の後方で、ステージ真正面の良席。 昨日の開演前には気軽に、18 歳が蘇るかも、と書いたのだけれど、本当に蘇ってきた。忘れていた 18 歳が。終盤、ずっとしんどかった。こんなに息が詰まるようなライブは初めてだった。びっくりした。"18…

電波受信準備完了。

怒濤の一ヶ月が終わったので友人 kms の誘いにほいほいのって radiohead のライブに来てみました。高校時代コピーしたなー。今はあの頃ほど思い入れはないんだけど今日のライブで18歳が蘇っちゃうかもしれないからね。 会場は夏の学会以来の東京国際フォーラ…

今夜,ある特定のバーで(ある特定の人間による観察)

日曜日からの四日間にわたる[缶詰[論文執筆]]*1にひと区切りを付け,へろへろになりながらも,とあるバーで三浦俊彦『多宇宙と輪廻転生―人間原理のパラドクス』を読んでいるわけであるが,隣席の同世代と思しき女子二人の会話へふと耳を傾けると,エレク…

走ることについて思うときに僕の流す音

投稿していた論文の二度目の査読が終わって返事が返ってきた。30 日で解析加えて議論改善しろ、って無理だよ。死む。なんだかいろいろうまくいかないことが多くて失速気味なのだけれど、そんなときは Cajun Dance Party を聴くに限る。身体のどこかに眠って…

精神医療と適応について考える。

killhiguchiのお友達を作ろうより (略) 今、私は、「治る」ことを、日常生活が送れて働けるようになるというように定義している。決して病根が私の目の前に曝され、それと対決し、完治させる、というようにはしていない。http://d.hatena.ne.jp/dadako/20080…

僕らが旅に出る理由 六つ目

ぼす「shokou5 くん、君の研究は素晴らしい。この最先端の知見をぜひ国際学会で発表してくれたまへ。」 ぼく「やた!初めての国際学会だ!僕の偉大な研究を世界中の人々に大いに知らしめるのだ!!さてさて、開催国はどこだろう?先輩たちはアメリカに行った…

野宿の旅、プライスレス。

島根県から無事帰ってきました。四日間のうち端の二日はまるまる移動に費やした。東京〜出雲の往復の交通費、4600 円、最終日松江で土地の美味と美酒に浸り、これまた 4600 円。宿賃、プライスレス。不思議な時間と金の遣い方である。そして再び研究の日々。…

かはらもののこうた

不思議なことだが野宿をしてゐて朝まで際限無く蚊に刺され続けるかといふと、決してそんなことはない。確かに二三カ所は刺されるのだが、それ以上はどうやらその地域に於ける食糧供給の過剰が生じ辺りは吸飽きた蚊ばかりになつてしまうやうなのである。故に…

ひとつの時間の中にあって幾億も重なる昼と夜

夜の伯備線は生真面目すぎるほどに一歩一歩を確かめながら進む。停車の度に運転手は一両目の先頭へ出てきては、姿を見せぬ降車客を待つ。駅の灯火の他には何も見えず闇の中をただ過ぎ去っていくだけの無数の町たち。僕はこれから先もこれらの町を訪れること…

たびのおとも

タビリエ 松江・出雲 (タビリエ 28)出版社/メーカー: ジェイティビィパブリッシング発売日: 2008/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (3件) を見る出雲大社 日本の美術 476作者: 浅川滋男,国立博物館(東京京都奈良九州),文…

THE BON DELUSION お盆は妄想である

ぼく 「先生、一日ほど盆のお休みをいただきたいのですが…。」 ぼす 「Bon!? メンリ僧院を総本山とするチベットの民間信仰のことかね!?」 ぼく 「いえ。僕は日本人ですので、どちらかといえば、仏教と神道の習合的なものですが・・・。」 ぼす 「盆!? き…

君と上手く話せないこと。

北海道でのお仕事終了。夜の飛行機まで遊ぶぜ!と意気込むも UFJ 銀行 ATM サービス停止により金欠。中島公園の木陰で缶ビール飲みながら Buzsaki 読む俺。札幌は真夏でも木陰に入れば快適この上ない。 あとで文学館の吉増剛造展を見よう。昨年は太宰治展に…