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ジャッケンドフ先生が語る言語・脳・進化

ことのはのいしずゑ 〜脳意味統語進化〜 Foundations of Language: Brain, Meaning, Grammar, Evolution作者: Ray S. Jackendoff出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2003/11/06メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 9回この商品を含む…

p19〜

第2章 心理現象としての言語 2.1 "心"とは何を意味するか? ノーム・チョムスキー『Aspects of the Theory of the Syntax』(1965) の注目すべき第1章において提唱された生成文法の検討課題は、そのほとんどが35年にも渡り無傷なまま残されることになった。こ…

p20:3〜

認知科学に浸透し類似の問題を引き起こす言葉は「表象」以外にも存在する。例えば、図1.1を心的表象もしくは脳機能の「記号」理論 symbolic theory の一部として語ることはよくあることだ。この図の中の音素 b だとか 範疇 NP だとかの表記記号は心の中の「…

p21:1〜

それゆえ我々は、「図1.1 は話者の心の中の認知構造をモデル化したものである」というように解釈を修正する。しかし依然として問題が残る。「心」 mind という言葉だ。心とは伝統的には意識と意志の座として理解されてきた。「心身問題」 mind-body problem …

p21:28〜

(ある人々は「記号下」 subsymbolic と呼ぶ)「機能的」 functional な構成・活動を理解する標準的な方法はコンピューターにおけるハードウェアとソフトウェアの区別をあてはめることだ。脳はハードウェアに例えられるのに対し、心はソフトウェアとして捉え…

p23〜

仮に機能的構成と神経における実装との関係をこのように理解したとしても、機能的構成理論の有用性に関しては一枚岩の攻撃がなされてきた。近年では理論への攻撃は哲学者からではなく、神経科学と計算論的モデリングのあるコミュニティーからなされている(例…

p23:37〜

2.2 言語学的記述を心的にどう解釈するか? そのような代替案とはどのようなものか。認知構造が神経的基盤の上に成り立つことは誰も否定しないだろう。そして神経がどのよう言語の理解と産出を成し遂げるかを理解することの重要性も誰も否定しないだろう(と…

p24〜

たとえば b という表記は「音素選択」 phoneme choice の下位空間における位置を符号化している。そして、音韻論的に異なる素性表記は、下位空間における子音性、有声性、調音位置といった下位次元を符号化しているのである(図1.2)。NP という表記は「統語範疇…