本日の環境学

保坂和志『カンバセイション・ピース』 人が空間の中に生きているかぎり、空間と何らかの折り合いのつけ方をしているわけで、「私」という特定の主語がここからの眺めを見ているのではなくて、私でなくても誰でもいい誰かがここからの眺めを見るという、そう…

中井英夫『新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)』(読了)

たぶんネタばれありなのでご注意ください。 年末から読み始めてようやく読了。 いまいち乗り切れないまま終わってしまった。これは別にこの小説を非難しているのではなく、この本の存在目的(つまり、「虚無への供物」)を考えると、読者を乗せきらないその手…

のび太の服の肩の皺に注目したい気分。

一昨日の進化論的文学批評に関する記事に、文学を専門とするid:Lisbon22さんからコメントを戴きましたのでこちらに再掲させていただきます。 … 実は最近文学研究の中でデータ解析みたいな手法を用いる人が少しずつ増えてます。もちろん彼*1みたいに「世界中…

中井英夫『新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)』

奇書として名高い『虚無への供物』。まだ上巻の半分を過ぎたほどだが、物凄い雰囲気というのは特に感じない。やけに軽い。江戸川乱歩が恋しくなる。これから先の展開に期待。 昨日の「古畑任三郎」はただ演技しているイチローが見たかっただけなのでノーコメ…

本日の古本@河野書店

カール・マルクス『共産主義者宣言』 金塚貞文の新訳で。岩波文庫の小難しい活字の雰囲気に浸るのもいいけど、21世紀の今こそポップに楽しもうというわけです。 ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン『反哲学的断章―文化と価値』 これは文庫化されてないみた…

「アインシュタインと共にダーウィンを超えよう」

論理思考と認知に関する国際シンポジウムで東京大学の金子邦彦教授が表題のようなでかいスケールの話をしてました。アインシュタインのブラウン運動に関する考察をもとに現代の進化理論に再考を迫る内容です。 我々は表現型だけが表立った淘汰の対象と考えて…

本日の古本@�͖쏑�X - ���̓����u���꓌���O�w�v�����̌Ö{�� - KONOSHOTEN(駒場東大前)

Noam Chomsky『Cartesian Linguistics: A Chapter in the History of Rationalist Thought』 1966年出版のハードカバー版入手。新版のカバーはデカルトとチョムスキーを並べているのか…。すげーな。 港千尋『記憶―「創造」と「想起」の力 (講談社選書メチエ)…

神様を信じる強さを僕に。

玄侑宗久『御開帳綺譚 (文春文庫)』 21年ぶりの御開帳を前に、薬師如来像の出自を巡る騒動が起こる。中世から受け継がれてきたはずの薬師如来像は、本物なのか?もし、偽者ならば本物は今どこに? このミステリーとパラレルに描かれるのが、主人公の僧侶の夢…

ブローカ野と言語:新たな提唱②

The emergence of the unmarked: A new perspective on the language-specific function of Broca's area Tanja Grewe, Ina Bornkessel, Stefan Zysset, Richard Wiese, D. Yves von Cramon, and Matthias Schlesewsky Human Brain Mapping (2005) からの続…

増田浩之『犬と親父』

第3回、新風社・平間至賞の大賞受賞作品だそうだ。平間至が自らの名前を冠した賞を出すほど偉くなっていたとは、寡聞にして知らなかった。聞けば、どうやらこの賞は新たな写真ムーブメントを起こすために新興出版社の新風社が立ち上げたもので、幅広い若手か…

本日の古本@河野書店(駒場東大前)

ジャック・モノー『偶然と必然―現代生物学の思想的問いかけ』 ジェレミー・バーンスタイン『心をもつ機械―ミンスキーと人工知能』 ノーム・チョムスキー『言語と精神』(絶版)

C・ダグラス・スミス『経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか』

BGMになり得ないローラ・ニーロ聴きながら車内で読書。 1949年のトルーマン大統領就任演説以来イデオロギーとなった経済発展主義に対する、オルタナティヴの提示。僕らの生活の中にすっかり構造化されてて見えなくなっている危険な事実に気づかせてくれる手…