認知
おひさしぶりです.今年も,いや,この 5 年も,いろいろありましたが,結局のところ,図々しくも,僕は元気です.いや,あまり元気がないかもしれません.君はどうですか? このところ,道徳について考えていました.いや不道徳について考えていたといった…
おひさしぶりです.今年もいろいろありましたが,結局のところ,図々しくも,僕は元気です.君はどうですか? さて,年始年末は日本においても宗教に関わるイベントが目白押しですが,それらの忙しさをやりすごしたら,ふと立ち止まって宗教や信仰そのものに…
日曜日からの四日間にわたる[缶詰[論文執筆]]*1にひと区切りを付け,へろへろになりながらも,とあるバーで三浦俊彦『多宇宙と輪廻転生―人間原理のパラドクス』を読んでいるわけであるが,隣席の同世代と思しき女子二人の会話へふと耳を傾けると,エレク…
killhiguchiのお友達を作ろうより (略) 今、私は、「治る」ことを、日常生活が送れて働けるようになるというように定義している。決して病根が私の目の前に曝され、それと対決し、完治させる、というようにはしていない。http://d.hatena.ne.jp/dadako/20080…
Uで彼は、絵画に政治がコード化できるのを初めて知り、ソナタが生けるヒエラルキーのように幾層にも分かれていくのを初めて聞き、文章がリズミカルに連動していくのを初めて感じた。他人の肉体の濡れたシャミーレザーに初めて自分自身を埋め込んだのもここ…
ふたりの対談が授業の一環で構内で催されることをたまたま知って聴いてきた。 僕は YMO 後のものは細野晴臣をメインに聴いているのであまり良い聴衆ではなかったかもしれないけれど、一流の音楽家の頭の中を生で覗き込む経験は非常にためになった。以下簡単…
現実逃避してはてなスターをいじる。画像はスウィングしているときの脳活動を fMRI で撮影したもの。みんなもスウィングで脳を活性化、玉虫色に染め上げてくれよな!*1 いつもどおり聴覚計算論のセミナーに行くと何故か今日は学生が僕ひとり。講師はフランス…
明日、行きます。 1950年代の「認知革命」以来、着実な歩みを続ける認知科学を取り上げます。研究の第一線で興味深い成果を発表し続ける3人の研究者を迎え、発達、言語、神経科学などをめぐる諸問題に鋭く切り込みます。認知科学を志すかたがた、認知科学の…
ゲアリー・マーカス Gary F. Marcus 『心を生みだす遺伝子』は最新の分子脳科学の知見から精神の発生学に挑んだ良書だった。同著者の 『The Algebraic Mind』 はどうやら翻訳は出ていないらしい。コネクショニズムと記号操作モデルを比較的フェアに比較して…
と題された教員談話会を聴いてきた。 「脳の話:言語と認知」 信原幸弘・酒井邦嘉 今回は、脳の情報処理をめぐる根本的な問題をめぐって、哲学者と脳科学者が正面切って論争を行う。 信原:「言語は構文論的な構造をもつ点に顕著な特徴があるが、そのような言語…
土曜日のこと。 理論神経科学・情報統計力学などを専門とする岡田正人先生の特別講義に参加。すげー面白かった。 統計力学と脳科学、情報科学とのまじわりを語るとき、Hopfield の名前を無視することはできない。彼の影響を受けた多くの物理学者は脳科学に参…
メルロ=ポンティの言う「身体図式」とは、すなわち因果の連関ではないだろうか。 因果の連関は特に個人の身体内部において生理学的・解剖学的性質により濃密さを増し、中枢神経系において、その極大点に達する。脳が自我の中枢として記述されるのはこの物理的…
ウィリアム・ジェイムス『プラグマティズム (岩波文庫)』より。 諸君はふたつのものを結合せしめるようなひとつの体系を要求している。すなわち一方においては事実にたいする科学的忠実さと事実を進んで尊重しようとする熱意、簡単にいえば、適応と順応の精…
Infants predict other people's action goals Falck-Ytter T, Gredeback G, von Hofsten C. Nat Neurosci. 2006 Jun 18; [Epub ahead of print] 認知科学徒 News Memoさん経由。乳児が他者の行動の目標を予測できる、という論文。直接計測しているのは目の…
エピソード記憶における時間表現と海馬のニューロン新生との関係を論じたPERSPECTIVEです。 そして私が、ぼだい樹花を煎じたものにひたして叔母が出してくれたマドレーヌのかけらの味覚だと気がついたとたんに(なぜその回想が私をそんなに幸福にしたかは、私…
以前から僕が考えているのは、学問の分野を問わず、難問(アポリア)の解決に立ちはだかっている壁は人間の認知様式を自覚しなければ超えられないのではないか、ということだ。これをことさらにくだいて言えば、養老孟司先生の『バカの壁 (新潮新書)』とほと…
『認知科学への招待』を参考に 発話として使用された言語表現の意味 (linguistic meaning) と両立可能な解釈は多数存在するにもかかわらず、なぜ、聞き手は話しての意図した意味 (speaker's meaning) をいとも容易に把握できるのだろうか コードモデル encod…
九州大学「音楽学I」シラバスより レアダールとジャッケンドフによる「調性音楽の生成理論」は,シェンカーの階層理論を展開し,さらに,チョムスキーの生成文法の方法を導入した今日もっとも影響力を持つ音楽理論であり,実装も試みられている。 マジか.…
ことのはのいしずゑ (我が駄訳) 言語に限らず、脳内表象・計算など、真っ当なことをおっしゃっている。 本日は第2章を p.22 まで翻訳。
(3)の続きです。 今回でこのシリーズはとりあえず終わりにしようと思います。 4. 同音異義語と多義語の質的な差異に関して ここでは最新の脳科学研究を紹介し、それが語彙意味論にどのような示唆をもたらすかを検討する。 The representation of polysemy: M…
(2)からの続きです。 3.語彙意味論における理論と実証的研究 ここまで見てきたように、語彙意味に分析的な内部構造を仮定する理論はFLらによる批判を免れないものである。しかし GP が示したのは、まさに FL らが批判する事象構造という動詞内部における分…
(1)の続きです。 2.Fodor & Lepore (1998) における生成語彙論批判 The Emptiness of the Lexicon: Reflections on James Pustejovsky's The Generative LexiconFodor J. A. & Lepore E. Linguistic Inquiry(1998), 29(2),269-288 彼らの主張は一貫してシン…
近年の生成文法において語彙の重要性が増してきたことに伴い、豊かな意味特性を含むものとして語彙を捉え、それらが統語構造にどのよう反映されているかを問うことに関心が集まってきた。Jackendoff (1983) 以降、語彙意味論の分野は活性化し、語彙概念構造 …
Direct neurophysiological evidence for spatial suppression surrounding the focus of attention in vision Hopf JM, Boehler CN, Luck SJ, Tsotsos JK, Heinze HJ, Schoenfeld MA Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Jan 24;103(4):1053-8. だんだん「注意」…
難読症 dyslexia とは、一般的な知能に異常は見られないにもかかわらず、文字の認識や書字に困難を抱える症例一般を指します。難読には(幼児期からの)発達性のものと(脳損傷による)後天性のものがあり、発達性のものは遺伝的な要因が示唆されています。 …
見たいものをだけを見る②の続きです。 Dissociation of face-selective cortical responses by attention Furey ML, Tanskanen T, Beauchamp MS, Avikainen S, Uutela K, Hari R, Haxby JV Proceedings of National Academy of Science of the United States…
見たいものをだけを見る①の続きです。 Dissociation of face-selective cortical responses by attention Furey ML, Tanskanen T, Beauchamp MS, Avikainen S, Uutela K, Hari R, Haxby JV Proceedings of National Academy of Science of the United States…
心をブラックボックスに仕立てあげたのは、進化でも、知的計画でも、誰でもない、我々自身である。さながら体のいいゴミ箱と言った次第だ。見たくないもの知りたくないもの何でも放り込めるし、便利だよね。藤子・F・不二雄『ドラえもん (36) (てんとう虫コ…
Lexical word formation in children with grammatical SLI: a grammar-specific versus an input-processing deficit? Heather K.J. van der Lely, Valerie Christian Cognition (2000) 75 33-63 要約 SLI (specific language impairment:特異的言語発達障…
Mark Lythgoe (2005) Nancy C. Andreasen『The Creating Brain: The Neuroscience of Genius』より。Natureの書評参照。 天才の秘訣とは「自由な連想を作り出す脳の『軽薄さ』」にあるそうです。洞察に大きな働きをもたらすのは、メタファーだというのは認知科…