猿言語と人間言語は回路が違う

The brain differentiates human and non-human grammars: Functional localization and structural connectivity
Friederici AD, Bahlmann J, Heim S, Schubotz RI, Anwander A
Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Feb 6; [Epub ahead of print]

人間のみが持つ句構造文法(PSG: Phrase Structural Grammer)と霊長類でも理解可能な有限状態文法(FSG: Finite State Grammar)を支える脳部位をfMRIで、解剖学的結合をDTI(Deffusin Tensor Imaging)で測定。有限状態文法とは隣接する要素の遷移確率だけで記述できる文法。それに対し句構造文法は埋め込み構造を可能にする。被験者は人間でPSGとFSGのルール違反を判断させる課題。
FSGは系統発生的に古い左前頭弁蓋 left frontal operculum で、PSGは新しいブローカ野で、という対比が明らかに。
さらに PSG/FSG それぞれ機能を担う脳部位を seed point としてDTIで神経結合を観察。異なる神経回路がそれぞれPSGとFSGを支えていることを示している。
う〜ん、先越された感が強い。Fitch & Hauser (2004) の Science 論文が出た時点でみんなやろうとしていたと思うんですよね。ただ、PSGとFSGでは難易度が段違いで、その統制をどうするか、というのが問題意識だったのですが。きちんと読んでまたレポートします。

ちなみに、この記事のタイトルはミスリーディングで、猿がFSGにのっとった言語を用いているわけではありません。ルールを理解することができる、というだけ。鳥のさえずりはFSGだとか。