人は過去の奴隷なのだろうか

 
はてなダイアリーにも YouTube が埋め込めるようになったということで。とりあえず青春の一曲。
The Smashing Pampkins の1995年の傑作『メロンコリーそして終りのない悲しみ』から 「Tonight, tonight」 。
 


 

 

Time is never time at all

You can never ever leave without leaving a piece of youth

And our lives are forever changed

We will never be the same

The more you change the less you feel

Believe, believe in me, believe

That life can change, that you're not stuck in vain

We're not the same, we're different tonight

Tonight, so bright

Tonight

 
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We'll crucify the insincere tonight

We'll make things right, we'll feel it all tonight

We'll find a way to offer up the night tonight

The indescribable moments of your life tonight

The impossible is possible tonight

Believe in me as I believe in you, tonight

 

 
若さの欠片を置き去りにせずには君は進めない/生は流転し続ける/同じで居続けることなんてできやしない/僕らは変われば変わるほど感じなくなっていく/信じて、僕を信じて/生は変わるんだ、君は無駄に立ちすくんでいるわけじゃない/僕たちは同じままではない、今夜、僕らは違うんだ/今夜はとても輝かしい/今夜
今夜、不実を十字架にかけよう/今夜、正しさをもたらそう、今夜、全てを感じよう/今夜、夜を捧げよう
今夜、言葉にできないほどの人生の瞬間が訪れる/今夜、不可能が可能になる/僕が君を信じているように、僕を信じてほしい/今夜
 
メタル、ニュー・ウェイブ、ゴシックと雑多なカラーの混ざり合ったどす黒いオルタナティヴ・ロックを鳴らしたバンドだったけれど、重機が軋むようなビリー・コーガンの声でロマンティックなメロディーを奏でられると、思春期のチンケな苦悩の真っ只中にいる中学生にとっては、何とも胸に迫るものがあった。そして、10年経った今でも、この曲の歌詞は胸を打つ。このような瞬間をこれからの人生で何度体験できるかわからないけれども、信じることができなければ、決して 「今夜」 は訪れないんじゃないか、と思わせてくれる。「今夜」とは、何らかの媒介を通してではなく、意識に直接与えられた事物の内側へと入り込んでゆける瞬間だ。改めて歌詞を読み直すと、流転し続ける生というテーマにしても、時間は決して「時間」じゃない、という冒頭の言葉にしても、ベルクソンを思わせる。木村敏が言うように、そういった瞬間というものがある種病的なものだとしても、それを美しく描くアートというのはいつの時代にも必要なのではないかと思うし、本当に美しく描ける人は極々限られているのだ。
 
しかし、当のビリー・コーガン自身、過去から自由になろうとしてなりきれない人のようで、結局スマパンを解散してからも思いを引き摺り続けている。ZWAN、ソロを経て、結局、正式にスマパンの再結成が決まり、レコーディングが始まったようだ。ジミー・チェンバリンの参加は決まっているけれど、解散の一因ともされるジェームズ・イハはどうなることやら。僕はジェームス・イハのいないスマパンは認めたくないな。
 
昔は気付かなかったのだけれど、VMAを7部門総なめしたこの素晴らしい PV は、ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』がモチーフ。『死ぬまでに観たい映画1001本』はメリエスの映画がたくさん見られて大満足でした。