サンデー・セタガヤ・サンデー

id:nosem さんにお会いしに、日本大学で行われた社会言語学会に (げふんげふん) してきた。本や論文を読むのも大事だけれど、やっぱり生の声というのは何にも代え難く貴重で、nosem さんのお話を聞けて本当に勉強になった。お疲れのところ、ありがとうございました。やはり脳科学言語学を結びつけるのは至難の業だな…、というのが率直な感想。
で、学会の方は口演は聞かず、ポスターを中心に。言語景観 (新宿におけるハングルの看板) の研究とか間テキスト性の研究とか、専門外ながらも非常に面白く、そのアプローチの幅広さに、自分が普段触れている言語学の対象が言語現象全体のうちの極めて狭い範囲でしかないことを痛感せざるを得なかった。とはいえ、僕個人の研究アプローチ自体は何かひとつに絞らざるをえないわけで、そこで問題となってくるのは、自分自身のアプローチをどれだけ信じられるか、という問題なのだった。悶悶転転。
 


 
会場となった日本大学からは下高井戸駅まで賑やかな商店街が真っ直ぐ続いている。帰り道、途中のたつみやで行列して鯛焼きを買う。かりっとした皮にぎゅうぎゅうに詰まったあんこ。普段は菓子を殆ど食べないのだけれど、これはたまらなかった。
研究室まで 1 時間ちょっとかけて散歩しながら帰る。街角の掲示板に世田谷文学館のポスター。ムットーニのからくり書物に新作が追加されたらしい。萩原朔太郎の「猫町」を題材にした作品はよく覚えているけれど、新作にはレイ・ブラッドベリもある。行きたい。わくわくする。
明大前には今では音信不通となった学部時代のバンドの仲間が住んでいたことをふと思い出し、彼の住んでいたアパートの前まで行って見たのだけれど、彼の名前は、もう、そこになかった。ライヴ後の寒い夜、メンバー全員で炬燵に当たりながら、井川遥苦しゅうない*1!と夜中叫びまくったのは、もう 5 年前。僕は彼のいないアパートを背に、苦しゅうない、と一人つぶやいた。

*1:僕らの間では何故か最大級の賛辞として使われていた。近う寄れ、ということなのか。