Radiohead 東京国際フォーラム 20081008
僕らの座席は PA 卓の後方で、ステージ真正面の良席。
昨日の開演前には気軽に、18 歳が蘇るかも、と書いたのだけれど、本当に蘇ってきた。忘れていた 18 歳が。終盤、ずっとしんどかった。こんなに息が詰まるようなライブは初めてだった。びっくりした。"18 till I die" と Brian Adams は溌剌と歌ったけれど、そして、僕もいつの間にかそういった幻想で記憶を上書きしていたけれど、18 歳てそんなに甘くて青いもんじゃなかったんだよなあ。僕らの世代の teenage を象るギター・リフ (というかベース・リフと言ったほうがいいか) は、快活に切り裂くような Jumping Jack Flash でも、衝動的な Smells Like Teen Spirits でもなくて、暗鬱で頭痛を催す Paranoid Android だった。1997 年に彼らが歴史を塗り替えて、これがロックのスタンダード・リフになったのだ*1。
セットリスト。
1. 15 Step
2. Airbag
3. Just
4. All I Need
5. Kid A
6. Reckoner
7. Talk Show Host
8. In Limbo
9. Wierd Fishes/Arpeggi
10. The Gloaming
11. Wolf At The Door
12. Faust Arp
13. Bullet Proof...I Wish I Was
14. Jigsaw Falling Into Place
15. Optimitic
16. Nude
17. Bodysnatchers
18. You And Whose Army
19. Videotape
20. Paranoid Android
21. Dollers And Cents
22. Everything In Its Right Place
23. Cymbal Rush
24. There There
25. Blow Out
全編通じて、演奏力は圧倒的だった。エレクトロニカ、現代音楽へと接近していった時期の楽曲についても、ロックバンドとして演奏することの意義を説得力のある形で提示できていたと思う。音の重ね方、サウンド・イフェクトに関しても、CD とは違う拘りを見せて会場を包み込んでいた。スタッフの動きはやたら敏捷で、トムが弾き語りに使うアップライト・ピアノがステージの真ん中まで質量などないかのようにすうっと滑り出てくる様に笑ってしまった。5人それぞれの映像と LED を使った演出も素晴らしい。ジョニーとエドのツイン・ギターの役割分担は生で見て、初めてようやく理解できたし、コリンとフィルが複雑なリズムの楽曲を力強く支えていることがよく判った。トムおじさんは相変わらず気味の悪い動きをしていたし、陰鬱なメロディーを溶けそうな崩れそうな声で歌っていて、ああ、ずっと変わっていないんだなあ、すごいなあ、と心打たれながらも苦しくなった。切り捨てて前へ進みたくなるものを、しっかりと見つめ続けて、10 年以上もかけて多様な角度から斬新な表現で切り込んでいく姿勢、これが radiohead の作り上げたロックであり、2000 年代のロックの前提となっているんだと思う。
そして、残念だけれど、僕はたぶん radiohead をもう切実には必要としていないんだな、ということもよく判った。僕は肉体的にも精神的にも、切り捨ててしまったものが多すぎる。そして忘れたふりがうますぎる。トムは "Everything in its right place" と歌っていたけれど、僕は wrong place にいるんじゃないか、とずっと苦しかった。
あ、そうそう、前座の Modeselektor、良かった。クラブで自由に踊りながら聴きたい。
終演後は kms と生春巻き、ナシゴレンなど摘みつつ、次のライブの相談。僕がベースをやるか、キーボードをやるか、ドラムをやるか、まだ未定なのだが、とにかく曲作んなきゃ、という妙な展開。最近は音楽関係 (みるほうとやるほう両方) のお誘いが多くて忙しくて嬉しい秋なのである。あ、稼業のほうもそれなりに充実・発展しているのでご安心ください。実験 4 号 (たぶんそのくらい)、始めます。
追記:そういや大学受験の勉強中、ずっと 『Ok Computer』とか『The Bends』とか聴いていたことをついでに思い出した。よくあんな凄まじいもの聴きながら勉強できていたな・・・。
おすすめライブレポート
Radiohead 10/8@国際フォーラム - イチニクス遊覧日記
同じ日にいらしゃってたんですね。radiohead というバンドは聴くひとの歴史を引き摺る運命にあるんだなあ。
http://www.bounce.com/interview/article.php/4655
鮮やかな写真が嬉しい。
*1:土曜日に某 RO 社の方と食事するので、予習を兼ねて、勢い、そういう文体になっている