Olivier Peters Quartet 『Wings of Spring』(1980)

         Wings of Spring
良いフュージョン(ドイツ産)。
フュージョンというジャンルが苦手な僕にとって、フュージョンには2種類しかない。
良いフュージョンと悪いフュージョン
当たり前である。
硬質さと柔和さのMix具合によって、僕の評価は良い⇔悪いの線上を彷徨う。思いっきり硬い(キメとかがバッキバキな)のも苦手だし、柔らかすぎる(メロウでイージーリスニングな)のも苦手。
このアルバムは、基本、高速のビートとひんやりとしたサウンド・テクスチャーが支配するのだが、その上に絶妙のバランスでまぶされたブラジリアン・テイストと、半数の曲に参加しているJoan Johnsonの伸びやかな歌声が、居ても立ってもいられない様な不思議な心の躍動を与える。春とは言っても、花咲く暖かな晩春ではなく、突き刺すように冷えた新春の夜を感じさせる、清烈な印象のアルバムである。
Olivier Petersはフランス生まれ、ドイツで活躍するサックス/フルート奏者。冷戦下のベルリンで制作された本作が1stアルバムにあたる。ジャケットもいいですね。