マンモス広場のクジラ山@札幌

マンモス広場ではちじー*1

先週は統合脳という企画のワークショップで一週間、札幌に行ってきました。初の北海道です。宿は大通り公園9丁目のクジラ山でした(付記:すっかり書き忘れていたのですが、クジラ山とは大通り公園にある人工の山です。北側半分は大きくえぐれていて斜面全体が滑り台のようになっています。また斜面の下は砂場になっています。南側半分はゆるやかな曲面で芝生に覆われています)。これは後で知ったことなのですが、イサム・ノグチのデザインしたブラック・スレイド・マントラという滑り台状の作品が大通り公園に置かれることが決定した際、札幌市はこのクジラ山を撤去してマントラを設置しようとしました。しかし、子供たちがクジラ山で楽しそうに群れ遊ぶのを見たイサム・ノグチ
 「私は間違っていました。ここには置きません。これは良いものだから、私が入ることで壊したくない」
と拒否したそうです。そして8丁目と9丁目の間の道路上にマントラを設置することを指示し、その後、彼は急逝しました。道路上に作品を設置することには相当の困難が伴ったようですが、結局遺言どおり、マントラは今の位置に置かれることになったのです(参考:モエレ沼公園公式パンフレット)。
イサム・ノグチが残してくれただけあって、彼の彫刻にも比肩する、美しい緩やかな曲線を背中に感じながら眠ることのできた1週間は幸せでした。とはいえ、駒大苫小牧の熱闘と同時に夏が終わったような札幌の明け方は、寝袋なしで半袖しか持たずにやってきた無謀な僕には少しこたえました。着替えのズボンを腕に巻いて、更にシャツを毛布代わりにして眠るなんて、本州の夏の野宿では考えられない事態です。
大通り公園はトイレも充実し*2、ベンチも多く、野宿者には優しい公園です。特に西側(テレビ塔と逆側)は車通りも比較的静かで同宿者がたくさんいました。確かに、8月の札幌は、そう暑くもなく、とても過しやすかったのですが、夏でも朝の冷え込むこの町のこと、冬はどのようにして夜を過ごすのか、東京に帰ってからも、僕はそのことばかり考えています*3

*1:写真はid:Asayさんの許可を得て転載させていただきました

*2:夜間はトイレは閉鎖されますが。

*3:もう一つ考えていることは、せっかくイサム・ノグチが子供たちの遊び場として残してくれたスペースを夜の間だけとはいえ占有してしまい申し訳なかったなあ、ということです。夜更かしの子供や早起きの子供はいるもので、彼等はじゃれあいながら山の上まで登りつめ、そこに転がる不審な若者の顔を恐る恐る除き込んでは、一目散に山をころげ逃げていったものです。