ハッカビーズ (恵比寿ガーデンシネマ)

友人の推薦。ウディ・アレンが好きな人は楽しめると思うな。へヴィなテーマをコミカルに噛み砕いて見せる力量はなかなかだと思った。ジャンルとしては哲学コメディ(なんじゃそりゃ)て感じだけど、気軽に見られる映画になっている。
人生の苦境に立った主人公(ジェイソン・シュワルツマン *1 )が、「全ての現象は繋がっている」と説く"哲学探偵"(ダスティン・ホフマン&リリー・トムリン)と、虚無主義を説く謎のフランス女との間で揺れるわけです。主人公の苦悩もキッチュな設定の中で描かれるから暗さは全くない。哲学探偵にしても全く重みがなく、その思想もうさんくさくて笑っちゃう*2
ジュード・ロウナオミ・ワッツは、ある意味ダシにされているので、2人目当てで行くとあてがはずれるでしょう。でもいい演技してます。勝ち組が崩れ去ってていくのを見るのはやっぱり楽しいですね。
ストーリーは結局主人公が両極の思想をあうふへーべんして終了。痛みなくして繋がりは生まれないんだと。でも、あうふへーべんのきっかけがエリート社員(ジュード・ロウ)の崩壊ってのはちょっとイタダケナイ。他者の痛みの受容を通じて初めて世界と繋がるっていうのは、アイデンティティ形成の方法として歪んでいると思う (勝ち組の崩壊を笑う僕と大して変わらない)。市民活動家とかにありがちな感じなので、そこまで皮肉っているのならすごいけど。
まあ、映画の中にはあまり哲学的な深みは感じないけれど、とてもわかりやすくテーマを提示してくれているから、考えるヒントになるかな、という感じです。
今日で恵比寿での公開は終了。ぎりぎりだった。家のテレビで見ても構わない感じの作品だったけど。

*1:フランシス・コッポラの甥らしい。人材豊富なファミリーだ。

*2:監督の師がモデルなのだそうだが、その師とは、なんとユマ・サーマンの父でチベット仏教学の権威ロバート・サーマンなんだそうで。