パンダ内交

http://www.asahi.com/international/update/0106/008.html

中国の国務院台湾事務弁公室と国家林業局は6日、台湾に贈るパンダのつがい2頭が決定したと発表した。中国側は「台湾の同胞に対する友愛の象徴」として選考。広く愛されるパンダを特使に、台湾市民の中国に対する好感度を高めようという狙いがうかがえる。
(中略)
パンダ贈呈も「子どもをはじめ人々に愛される動物だけに、陳水扁総統も簡単には断りにくいだろう」(北京の外交筋)との見方が出ている。

中国と台湾、仲良くしていただくのは大いに結構ですが、このパンダ、なかなか曲者のようです。
ワシントン条約(CITES)では絶滅の恐れのある野生生物の「国際」取り引きは禁止されている*1ため、台湾がパンダを受け入れてしまうと、「ひとつの中国」を認めることになってしまうからです。中国側もなかなかうまいこと考えましたね(笑)。
そもそも中国が台湾にパンダを贈るきっかけとなったのは、昨年5月、(台湾の野党である)国民党の連戦主席(当時)が大陸を訪問し、共産党と国民党のトップ会談が60年ぶりに実現したことで、陳水扁政権とは直接関係ありません。台湾当局からすればまさにありがた迷惑な贈り物です。
中国の思惑を裏に孕んだチベット鉄道の建設が進んでいますが、2匹のパンダもその愛くるしい見た目とは裏腹に、台湾への戦略的架橋として利用されているようです。

*1:今回のように動物園が受け入れ先の場合、「学術研究目的」として免除されるのですが、中国政府自身が1982年以降他国への輸出を控えているようです。