夏が去れば登り出す

23:55 浅草発尾瀬夜行に乗り込む。夜行列車は何故だかいつでも厳粛な心持ちにさせる。夜の闇を進む旅路に何かの隠喩を見い出すからかも知れない。
燧ヶ岳〜尾瀬ヶ原至仏山のコース。
いままでの登山は小屋泊ばかりだったのだけれど、今回は初めてのテント泊。宿を背中にしょっている。一晩の眠りがどれだけ貴重なものかを、肩に食い込むザックの肩ひもが物語る。浅草に着いた時点でもう肩凝りが酷い。
台風がこのまま東へ逸れることを祈る。もしかしたらこれが遺言になるかも。
「再びお目にはかかりません」。僕の好きな小説の結句。