おだやかな暮らし


昨日は夏休み屋外映画祭の設営の仕事で多摩センターというところに初めて行ったのだが、駅前のパッケージングされた光景にたまげた。到着したのはまだ太陽が真上にある時間で、西洋気取りの街は煌々と照らされていて、その歴然としたチープさに嫌悪感を禁じえなかった。けれども日が沈みかけて、丘の上の広場で「ウォレスとグルミット」の上映が始まり、映画に見入る家族連れの背後、丘のふもとで繰広げられるジャズ演奏に聞き入る人たちが夕日に照らされている、街灯が灯り、遠くの山が黒々と浮かぶ、そんな風景に何だか胸が苦しくなるような思いがした。東京の西の外れ、山の合間に箱庭のような街があって、そこで人生を送る人たちがいて、その街の短い夏のお祭りの手伝いが出来た、それだけで何だか幸せな気持ちになった。
写真は昨夏のモエレ沼公園