脳ミソ大航海時代

脳機能マッピング」という言葉に象徴されるように、現在、脳科学においては、数々の島が「発見」され、新たに見出された大地に自国の旗を立てていく作業の真っ只中である。脳の後方は、「視覚帝国」に完全に植民地化された。脳の前方は未踏の地が多い。植民地番号44・45番「ブローカ島」では「言語帝国」、「模倣王国」、「作業記憶共和国」らが入り乱れての熾烈な領土紛争を繰り広げている。しかし植民地を巡る列強の争いの中で忘れ去られがちなのは、その地の土民が他の地の土民といかなる交流を持っているか、個々の土民の習性はどうか、といった文化人類学的/心理学的視点、彼ら土民の原始共同体がどのように形成されたか、という歴史学的視点である。植民地争いにかまけてばかりいると、そのうち土民から手痛い反撃を食らうだろう。
はて、ポスコ脳科学とは、これいかに。まずは大戦が起こってからでしょうか。まあ科学という営み自体がファルス的なんでしょうが。
土民、土民と繰り返す擬人化も避けるべき問題の一つです。