「シンポジウム『生成文法の可能性』レポ」への言語脳科学からの応答

2008 年 11 月 9 日に専修大学で行なわれたシンポジウム「生成文法の可能性」に参加し、いつもブログ上でお世話になっている id:dlit さんともお会いすることが出来ました。お会いした感想としては同じく、若け〜というのと、やっぱり言語学の方はきれるな〜…

ぼくたちの 感覚は どのようにして うまれてくるか。

Kandel, Schwartz, and Jessell (2000) 『Principles of Neural Science』 p. 22 より。 このように、 ひかりの 情報を はこぶ 信号は、においについての 情報を はこぶ 信号と おなじなのです。ここでぼくたちは 脳の はたらきの もうひとつの だいじな 原…

君と上手く話せないこと。

北海道でのお仕事終了。夜の飛行機まで遊ぶぜ!と意気込むも UFJ 銀行 ATM サービス停止により金欠。中島公園の木陰で缶ビール飲みながら Buzsaki 読む俺。札幌は真夏でも木陰に入れば快適この上ない。 あとで文学館の吉増剛造展を見よう。昨年は太宰治展に…

第 31 回 日本神経科学大会雑感。

日本神経科学大会で、口演に来てくださったり議論したり飲んだりしてくださったみなさん、ありがとうございました。何人ものかたに身元がバレていたようで、もうブログで名前出してもいいような気がしたです。広いようで狭い業界ですし、どうせ書いている内…

悦ばしき知識:鏡について

Uで彼は、絵画に政治がコード化できるのを初めて知り、ソナタが生けるヒエラルキーのように幾層にも分かれていくのを初めて聞き、文章がリズミカルに連動していくのを初めて感じた。他人の肉体の濡れたシャミーレザーに初めて自分自身を埋め込んだのもここ…

意識、アクセス可能性、そして心理学と脳科学の噛み合わせ/ネッド・ブロック

Consciousness, accessibility, and the mesh between psychology and neuroscience Block N. Behav Brain Sci. 2007 Dec;30(5-6):481-99; discussion 499-548. 『Behavioral and Brain Sciene』の昨年の最終号で、意識のアクセス可能性を巡ってネッド・ブロ…

平成理想主義

今日は本郷にて Buzsaki の 『Rhythms of the Brain』 の勉強会メンバーと忘年会。発達心理学、分子生物学、ロボット工学まで幅広いメンバーが集う。誰もがそれぞれの専門知を愛しながら、かつ、他領域の知へと接続しようという意欲に溢れている。とても気持…

坂本龍一×小林康夫「音楽はどこにある?」

ふたりの対談が授業の一環で構内で催されることをたまたま知って聴いてきた。 僕は YMO 後のものは細野晴臣をメインに聴いているのであまり良い聴衆ではなかったかもしれないけれど、一流の音楽家の頭の中を生で覗き込む経験は非常にためになった。以下簡単…

量子NO!

昨日のエントリの killhiguchi さんのコメントに関連して。 数年前、大学の図書館の蔵書整理の際、廃本のところにあった*1ので SGCライブラリ 25 臨時別冊・数理科学2003年7月 「量子場脳理論入門」 〜 脳・生命科学のための場の量子論 〜 高橋 康 監修 保江…

脳の中の代数学者

ゲアリー・マーカス Gary F. Marcus 『心を生みだす遺伝子』は最新の分子脳科学の知見から精神の発生学に挑んだ良書だった。同著者の 『The Algebraic Mind』 はどうやら翻訳は出ていないらしい。コネクショニズムと記号操作モデルを比較的フェアに比較して…

頭痛は頭痛もち 物理主義は汎心論を含意するか

Galen Strawson らによる論文集『Consciousness and Its Place in Nature: Does Physicalism Entail Panpsychism?』 に対する Jerry Fodor の書評 "Headaches has themselves" (London Review Bookshop) を翻訳しちゃった。追記: 『Consciousness and Its Pl…

大阪春の靭

朝、7時半に梅田着。寝呆けた頭のまま PRONTO でカプチーノとハムエッグトーストの朝食。一服してようやく目が覚める。どうやら深夜バスではトイレ休憩も含め、一回も目を覚まさなかったらしい。初めての経験。場違いな人間になってゆくに従って、図太さも増…

カンデル積んでる。

昨年、北海道のイベントで知り合った野澤くん (名前出しちゃっていいんですよね?) のサイトをご紹介。 melonsode.fem.jp 僕も昨日見つけたばかりで全部のコンテンツを探検したわけではないんですが、神経科学の教科書の決定版、カンデル Eric R. Kandel *1…

批判力を鍛える大人のおもちゃ

川島隆太先生が Nature Neuroscience に登場。といっても論文ではなく、脳トレ・ゲームに関する注意を喚起するEditorial (編集前記のようなもの) の中で真っ先に名前が挙げられているのだ。 Exercising to keep aging at bay Nat Neurosci. 2007 Mar;10(3):2…

コネクショニスト・モデルと神経科学による意識の統一的解釈

昔作ったレジュメを読み返したらなかなか面白い内容だったので。まとまっていませんが参考までに。 Consciousness: converging insights from connectionist modeling and neuroscience Tiago V. Maia and Axel Cleeremans Trends Cogn Sci. 2005 Aug;9(8):3…

脳の中の意図

風も自分の思いのままに吹いているが、あなたはその声をきいても風がどこから来てどこへ行くかを知るまい。霊から生まれた人もそれと同じである。ヨハネ福音書第3章 1-8 本当の自由意志を理解する鍵は、奥深くにある何か特別な塊の中ではなく、文化に囲まれ…

SPMの標準的テキスト

僕の知っている限りでは、SPM (Spatial Parametric Mapping) 開発メンバーらの手による『Human Brain Function, Second Edition』(の Section PART 2)が SPM の標準的なテキストなのですが、そのオンライン版が以下で無料で入手できます。 Human Brain Funct…

本日のキーワード

response selectivity vs. Mach's principle non-locality google 的知性 vs. synthesis (ダーウィン『種の起源』) 前半は脳科学のパラダイムについて。反応選択性の議論に終始していては意識の基盤の説明は不可能、という点は非常に同感。「革命は反応選択性…

脳科学の内部観測

『現代思想』10月号は「脳科学の未来」が特集。 茂木健一郎+郡司ペギオ幸夫+池上高志の討議がトップ。 脳科学の特集なのに、この三人を主席に据えるところが、さすが青土社というか、なんというか。いや、すごい面白いんだけれど。巻頭エッセイを任された竹…

「脳の話:言語と認知」

と題された教員談話会を聴いてきた。 「脳の話:言語と認知」 信原幸弘・酒井邦嘉 今回は、脳の情報処理をめぐる根本的な問題をめぐって、哲学者と脳科学者が正面切って論争を行う。 信原:「言語は構文論的な構造をもつ点に顕著な特徴があるが、そのような言語…

植物状態における意識の検知

認知科学徒 News Memo さんのところでも関連するニュースがたくさん紹介されていました。短いので論文本文を全訳してしまいました。 Detecting Awareness in the Vegetative State Owen AM, Coleman MR, Boly M, Davis MH, Laureys S, Pickard JD Science. 2…

生体内の神経電気活動をMRIで見る

いきなり、久々の、硬めのエントリ。論文の内容はなかなかすごい。 Finding neuroelectric activity under magnetic-field oscillations (NAMO) with magnetic resonance imaging in vivo Truong TK, Song AW. Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Aug 7; [Epub …

脳神経科学の可解モデルへの射影

土曜日のこと。 理論神経科学・情報統計力学などを専門とする岡田正人先生の特別講義に参加。すげー面白かった。 統計力学と脳科学、情報科学とのまじわりを語るとき、Hopfield の名前を無視することはできない。彼の影響を受けた多くの物理学者は脳科学に参…

現象学と脳科学のあわい(愚察)

メルロ=ポンティの言う「身体図式」とは、すなわち因果の連関ではないだろうか。 因果の連関は特に個人の身体内部において生理学的・解剖学的性質により濃密さを増し、中枢神経系において、その極大点に達する。脳が自我の中枢として記述されるのはこの物理的…

Frontiers of Human Brain Imaging −脳画像最前線−

東京大学 大学院医学系研究科ホームページより シンポジウム概要 fMRI*1 を中心とした脳機能画像研究はひところの熱狂的な時期を過ぎ、その方法論的な限界を十分認識しつつもその独自性、優位性を模索する段階に入ったといえます。このシンポジウムでは脳機…

脳遺伝子の進化

Activity-dependent Expression of occ1 in Excitatory Neurons Is a Characteristic Feature of the Primate Visual Cortex Takahata T, Komatsu Y, Watakabe A, Hashikawa T, Tochitani S, Yamamori T. Cereb Cortex. 2006 Jul;16(7):929-40. Epub 2005 Se…

海馬の新生ニューロンは時間を記憶に刻み込む?

エピソード記憶における時間表現と海馬のニューロン新生との関係を論じたPERSPECTIVEです。 そして私が、ぼだい樹花を煎じたものにひたして叔母が出してくれたマドレーヌのかけらの味覚だと気がついたとたんに(なぜその回想が私をそんなに幸福にしたかは、私…

Alva Noe 来日講演

UTCPホームページより UTCP連続講演会 アルヴァ・ノエ(カリフォルニア大学バークリー校) 5月31日(水)14:40-16:10 Real Presence I6月2日(金) 13:00-14:30 Real Presence II6月2日(金)14:40-16:10 Neural plasticity and consciousness (Note, this t…

脳科学の解析結果

脳科学の71%は勢いで出来ています 脳科学の17%は利益で出来ています 脳科学の8%は気の迷いで出来ています 脳科学の4%はマイナスイオンで出来ています なるほど。 neurosceinceの解析結果 neuroscienceの89%は犠牲で出来ています neuroscienceの5%は情報で出…

逆再生でイベント記憶

Reverse replay of behavioural sequences in hippocampal place cells during the awake state. David J Foster and Matthew A Wilson Nature. 440 (7084), 680-3 (30 Mar 2006) News and Views Editor's Summery 海馬はげっ歯類において、ナビゲーションの…