僕(ら)が旅に出る理由(2)

明日から京都で学会。今夜遅くバスで新宿を発ちます。
京都の銭湯を巡ろうと、http://inokin.kdn.ne.jp/sentou/index.htmさんを参考にしながら、所在地などを調べているのだけれど、京都の住所表記が全く解読できない。ネットで検索をかけてもジャストでヒットしない。住所判読のコツか何かあればどなたかに教えていただきたいです。こうなったら行き当たりばったりだ。
宿は京大吉田寮の予定。もちろん予約などしていないけれど(そもそも予約なんてシステムはない)今まで断られたことは一度もない。夜中2時に行っても泊めてくれた。確か一泊200円かそこら。こういうこと公に書いたらまずいのかしら。
初めて吉田寮に泊まったのは大学1年の夏休み。友人との自転車旅行の途中。それまではずっと公園とか野原とかで寝ていたのだけれど、台風が来るということで、吉田寮に避難したのだった。立ち込める暗雲の重圧で今にも押し潰されそうな廃屋同然の佇まいは、台風以上に僕らの不安を煽った。通された部屋の畳や布団は、何種類ものエキスが染み込んだ、深い色合いを見せていた。
同室の男は30近くのいわゆる「正義派」であった。彼はこの社会が如何に不正に満ちており、弱き者が虐げられているかを、旅に疲れた弱年二人に滔滔と談じ続けた。世界は革命を必要としている。僕はといえば薄れ行く意識の中で半ば機械的に首を振り続けるのみだった。彼が革命への情熱を燃え立たせている間、外では轟々と嵐が吹き荒れていた。
そういえば、僕はあの日以来、京都では吉田寮以外に宿泊したことがないのだなあ。別段「正義派」との語らいを求めているわけではないのだが。