ブローカ矢:脳における進化、予想、そして言語

Broca's Arrow: Evolution, Prediction, and Language in the Brain
Cooper DL.
Anat Rec B New Anat. 2006 Jan;289(1):9-24.

著者のCooperさんはどういった人物なのか皆目わからない。元プリンストン大学の学者で、アメリカ陸軍を退役し、上級連邦政府高官? senior federal bureaucrat で、博士課程だと書いてある(大体こんなプロフィールを乗せた論文なんて見たことない)。いくつなんだろう。あまり売れてないみたいだけれど "http://www.attractorconcepts.com/linguistic_attractors.htm" というようなニューラル・ネットによる言語研究で本を出版している。他の論文は見当たらない。謎だ。
ともかくこのレヴューはブローカ野における各種研究をまとめていて、手早く全体像を知ることができる。FOXP2遺伝子からミラー・ニューロン、音楽の認知、言語まで。ミラーニューロンと繋げることで、社会的概念の話になり、認知言語学よりで話をまとめている。昨日の『予想脳』じゃないけれど、予想がブローカ野の重要な要素だというのは、僕も同意できる。というよりニューロン・レベルまで降りて考えなければいけないときに、生成文法だ、認知言語学だ、というのは全く意味をなさない。