サマー・ソルジャーだったころの話。


サニーデイ・サービス再結成だって!晴茂くん (Dr.) 生きていたんだ・・・。無免許スクーターで疾走する三人、泣ける。
 
そういえば数年前の夏、僕もベトナムの海沿いの町ムイネーを無免許バイクで走りました。セオム (バイクタクシー) を頼んだつもりが、レンタルバイクをそのまま手渡されてしまったのです。張る必要の無い見栄を何故だか張って、勢いよくアクセルを踏み込んで、白い砂漠と赤い砂漠を目指して走りました。後ろに Lisbon22 くんを乗せてよろよろ走りました。
道に迷ったり、浅い川の中を歩いて遡ったりしながら、どうにかこうにか、夕暮れが近づいてくる頃、砂漠まで辿り着きました。砂の丘の上でコーラを一気に飲み干しました。とても暑い一日でした。砂漠の向こうにオレンジ色の大きな太陽が沈んでいきました。
 
真っ暗になってから、街灯ひとつない道を宿までバイクで戻りました。
途中の小さな漁村で、夜の闇よりも真っ黒なスープに浸かったフォーを食べました。なんだかほっとするような心が奮い立つような優しくて深い味でした。
そこから宿までの帰り道、ずっと前方に集中していた気持ちが少し緩んで、空を見上げたら満天の星空でした。バイクを停めて海岸で星を見ました。どれがなんの星だかちっとも分かりませんでしたが、僕はあの時見つめたあの星たちが南十字星だったとずっと信じています。僕らはサマー・ソルジャーでした。 
 
今でも Lisbon22 くんとの話の中で、一番美味しかったベトナム料理として引き合いに出るのはあの真っ黒なフォーです。ほかのどの町でも、あんなに真っ黒であんなに美味しいフォーにはありつけませんでした。
Lisbon22 くんは昨日、会社を辞めてインドに行ってしまいました。僕は今、 2LDK の部屋に一人取り残されています。僕もまたいつのひか、サマー・ソルジャーになってみたいと思いながら、クーラーの効いた研究室で脳や心や言葉について考えています。