雑録

僕らの青春をおおげさにゆうのならば。

近代文学とは「青春」の発見/創出であった、とする三浦雅士『青春の終焉』には非常に賛同するところです。ところが「青春小説」とは(こないだ書いた『小さな恋のメロディ』みたいに)基本的には学校・社会などの権力に対する抵抗の物語なので、フーコー的…

村上春樹恐怖症=青春という亡霊への憧憬?

友人のLisbon22くんが3月25・26日に行われる『春樹をめぐる冒険―世界は村上文学をどう読むか』というシンポジウム・ワークショップに誘ってくれたので楽しみ。 そういえば僕が大学に入る前に「大学生」のイメージを決定付けたのは『ノルウェイの森』だった(確…

認識の病

因果関係 - 白のカピバラの逆極限 S.144-3より 「しかられないと勉強しない」という命題は真なのにその対偶の(と一見思われる)「勉強するとしかられる」は偽であるのはどうしてか、という問題。出展がなかったからはっきりしないのですが、そういう意味で…

重要な蛇足

僕は上の日記(1個上のはどうでも良くて2個上の日記)で展開された未熟な思考を、障碍者の生やそれに関わる社会環境の問題に結びつけてみたいと思う(もちろん水溜りに足を突っ込んだだとか、大きな門、小さな門だとかは比喩である)。 障碍者が利用しやすい大…

語彙意味ってなんなんだろね。

蒼龍さんから「概念構造は語彙に記載されているか」の一連の記事に関してトラックバックをいただき、出張して質問に回答してきました。 生成語彙論ってこんな理解でいいのかな - 蒼龍のタワゴト-評論、哲学、認知科学- この一連の記事はあまり推敲もしていない…

ごっつぁんの家族風景

ちなみにダーウィニストに冷酷無比・弱肉強食・ナチなどのイメージを重ねるのは止めましょう。実際の研究は地道で冷静な作業です(たぶん)。そしてTrivers(1971)など、自然淘汰が互恵的利他行動 Reciprocal Altruism (自らのコストにも関わらず他者に利を与え…

のび太の服の肩の皺に注目したい気分。

一昨日の進化論的文学批評に関する記事に、文学を専門とするid:Lisbon22さんからコメントを戴きましたのでこちらに再掲させていただきます。 … 実は最近文学研究の中でデータ解析みたいな手法を用いる人が少しずつ増えてます。もちろん彼*1みたいに「世界中…

進化論的文学批評

Literary darwinism: textual selection Whitfield J Nature. 2006 Jan 26;439(7075):388-9 かつてのマルキシズム、精神分析、構造主義などがそうであったように、人間の行動分析に用いられるツールは全て文学批評のツールへと援用される運命にあるようだ。 …

抵抗─神経科学の/に

わ。vikingさんに紹介していただいたのにトップの記事がこのままでは俺が馬鹿である以上に馬鹿に見えるではないか。と思い筆をとり候えど、夢の窮策、以下駄文垂れ流し。 脳科学の論文のネタはたまっているのだ。が起筆に到らず。確かに専門を同じくする先輩…

もう2月か。

Tahiti 80 Hitachi 80 "Can you feel my heartbeat? When I'm close to you ハァハァ ハァハァ" Heartbeat/Tahiti 80

iPodでThe Whoを聴くと重度の難聴になる。

http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20060120304.html http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20060106303.html 60年代から活躍してきたロックバンド『ザ・フー』のギタリスト、ピート・タウンゼント氏(60歳)が、『iPod』(アイポッ…

恵方巻き

Sankei Web コンビニ・スーパー、人気に「かぶりつき」 節分の「恵方巻き」全国区 どのコンビニも盛り上げようと一生懸命。数年前から目にはしていたけれど特に今年は宣伝が大掛かりな気がする。 業界*1あげて新たな風習を作り上げようという姿勢にとても違…

確信犯宣言

言葉は 感情的で、 残酷で、 ときに無力だ。 それでも 私たちは信じている、 言葉のチカラを。 ジャーナリスト宣言。 朝日新聞 CMで見てちょっと驚いた。 今さら宣言されなくても、朝日新聞ほどの言論権力が、言葉のチカラを信じ、充分に駆使していることは…

毎日の生態学

"Ecology"に相応しい日本語訳は「生態学」ではないでしょうか。 "eco"の語源となった「オイコス」oikosとは古代ギリシャ語で「氏族、家屋の集まり、集落」といった意味だといいます。複数の要素が有機的に相互作用することで形成されるシステム、さらにはシ…

知識労働力体制の下では、システムこそが働く人々に仕えなければならない 

タイトルは先日亡くなったピーター・ドラッカーの言です。別に信奉者ではありませんが。 大学人の会主催シンポジウム『任期制・年俸制導入と評価制度は大学と教育をどう変えるか』概要ご報告より上智大学・福井直樹先生のお話『アメリカの大学における「任期…

キノコで繋がる。

針を使わないホッチキスって知ってました!? 常識? 今日、授業で配られたレジュメの端にキノコ型の穴が4つ繰り抜かれてて、なんじゃい?と思ってよく見たら、針を使わないホッチキスでした。 どうやって止めているかはうまく説明できませんが(刳り貫いたキ…

パンダ内交

http://www.asahi.com/international/update/0106/008.html 中国の国務院台湾事務弁公室と国家林業局は6日、台湾に贈るパンダのつがい2頭が決定したと発表した。中国側は「台湾の同胞に対する友愛の象徴」として選考。広く愛されるパンダを特使に、台湾市…

川村記念美術館@佐倉市

正月休みに遠征してきました。いやあ、都心からのアクセス、かなり悪いですね。まあ逆に小旅行気分で楽しみました。入館料より往復の電車賃のほうがはるかに高いという (約 3 倍)。行きの総武線では、隣席の女の腕の中の稚児から執拗な足蹴りをくらいつつも…

パンとサーカス

タワレコ・ポイントカード満タン。 今年も沢山踊らされました。万歳。

「アインシュタインと共にダーウィンを超えよう」

論理思考と認知に関する国際シンポジウムで東京大学の金子邦彦教授が表題のようなでかいスケールの話をしてました。アインシュタインのブラウン運動に関する考察をもとに現代の進化理論に再考を迫る内容です。 我々は表現型だけが表立った淘汰の対象と考えて…

脳ミソ大航海時代

「脳機能マッピング」という言葉に象徴されるように、現在、脳科学においては、数々の島が「発見」され、新たに見出された大地に自国の旗を立てていく作業の真っ只中である。脳の後方は、「視覚帝国」に完全に植民地化された。脳の前方は未踏の地が多い。植…

デカルト劇場の誤謬

心をブラックボックスに仕立てあげたのは、進化でも、知的計画でも、誰でもない、我々自身である。さながら体のいいゴミ箱と言った次第だ。見たくないもの知りたくないもの何でも放り込めるし、便利だよね。藤子・F・不二雄『ドラえもん (36) (てんとう虫コ…

通信簿が来ました。

そろそろ学期末ですね。通信簿にどきどきしていた小学校の頃を懐かしんでいる方はやってみてください。 http://110129.com/tu/ 平成17年度通信簿 名前:shokou5サン - 国語1★ 話す内容が意味をなしていない - 社会4★★★★ 地域の発展についてよく理解している - …

君や僕をつないでる緩やかな止まらない法則(ルール) 

小沢健二『dogs(旧題:犬は吠えるがキャラバンは続く)』 海岸を歩く人たちが砂に 遠く長く足跡をつけていく 過ぎていく夏を洗い流す雨が 降るまでの短すぎる瞬間 真珠色の雲が散らばっている空に 誰か放した風船が飛んでいくよ 駅に立つ僕や人ごみの中何人…

メモ

馬鹿には会いたくないというのなら、まず自分の鏡を壊すことだ。 フランソワ・ラブレー

立花隆の細胞にミトコンドリアは存在しない。

Y染色体ついでに。 http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051130_tennou/index5.htmlより。 こういうばかげた主張を封じるために、女性天皇容認論者は、神武天皇Y染色体より、はるかに貴いのは、天照大神由来のミトコンドリアであり、これは…

神武天皇Y染色体の幻想

産経ニュースより (id:loi_loiさん経由) 「皇室が成し遂げているのは千数百年にもわたり、ほとんど同じ『Y』を受け継いだということ。われわれが直面しているのは、千数百年もの間純粋に受け継がれてきた『Y』を、いま絶えさせていいのかという問題だ」(…

リンク先

直接見られない人多いだろうし、論文のリンクはPubMed*1経由に切り替えます。以前のリンクも順次修正していきます。ただNewsとかCommentaryとかは、PubMedにひっかからないので、そういったものは直接リンクで継続。 *1:abstractまではどなたでも読めます。F…

女性天皇に真に反対しているのは誰だろうか?

http://www.asahi.com/national/update/1124/TKY200511240412.html 僕は皇室に何の私的感情もない。TVの皇室特集などは鬱陶しいだけである。天皇制は廃止しても構わない。だが、廃止なら廃止で、それなりの重みを持った決断となることを自覚すべきだと思う。…

ダライ・ラマ、神経科学学会にて歓迎を受ける。

Yudhijit Bhattacharjee Science (2005) vol.310, No.5751 先日、神経科学会(Society for Neuroscience)での、ダライ・ラマ招待講演を巡る騒動についてお伝えしましたが (http://d.hatena.ne.jp/shokou5/20051115/1132053586) 先週のScieneの記事に依れば、…